はじめに
●写真の楽しさ再発見?
すっかり新製品が発売されなくなった普及価格帯のコンパクトデジカメ。
カメラ量販店の売り場もどんどん縮小され、今はハイエンドミラーレス機やフルサイズのカメラを中心に展示されている。
ところが中古市場を見ると、コンパクトデジカメは人気のようで、新製品当時の価格より高く売られているカメラも少なくない。
スマホの写真に飽き足らなくなった人たちが、コンパクトデジカメに目を向けているのかもしれない。
フルサイズ以上になると本体だけで最低20万円以上は必要になるので、一般ユーザーには手軽に自由度の高い写真が撮れるAPS-C、マイクロフォーサーズあたりがちょうどよい落としどころなのだろう。
またハーフカメラの新製品も登場したフイルムカメラの動向も注目したい。
カメラで撮る写真の楽しさが再発見されることは喜ばしいことだ。
●写真によく似たデジタルビジュアル
昨今どんどん進化している生成AI による画像だが、現在のところ「写真を模したピクチャー」に過ぎず、まだまだ作家によるクリエイティブを感じることはできない。
今後クリエイターが生成AI を自在に使いこなし、そこに魂を込められれば、新世代のビジュアル作品になるかもしれないが、それは「写真」ではなく絵画やイラストの領域だろう。
一方、デジタルカメラによる写真は、マイクロフォーサーズ以上のセンサーであれば作品レベルの
写真が撮れると思う(もちろんセンサーサイズは大きいに越したことはないが)。
生成AI や3D CG レンダリングによるビジュアルはあくまでイメージであり、リアルではない。
そしてリアルを切り取るのが写真である。
最近その境界線が曖昧になりつつあるので整理してみた。
写真に限りなく接近してきたCG や生成AI は「写真」ではないが、広告などのビジネス領域では従来の写真の領域にどんどん入ってきている。
それはたぶん、コスト面や目新しさがあるからだろう。
今後カメラマン、フォトグラファーは「写真のようなビジュアル」に対する明快な回答を求められてくるのかもしれない。
絵でも写真でもないデジタルビジュアルの台頭でなんとも面倒くさい時代になったものだが、これからもカメラマンの視線でさまざまな「リアル」を切り撮っていただきたい。
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