トップ » セミナー » 「見られる映像」の秘訣!バラエティに学ぶ、テレビ番組風テロップの作り方

「見られる映像」の秘訣!バラエティに学ぶ、テレビ番組風テロップの作り方

開催日時 2025年5月14日(水)17:00 – 18:00
開催方法 オンライン配信(YouTube)
参加対象 ・YouTube、テレビなどの動画コンテンツを制作している方(個人、企業)
・「見られる」コンテンツを作りたいと考えている方
・バラエティのようなコンテンツを作りたいと考えている方
・制作会社やポストプロダクションで新しいテロップソフトの導入を検討している方
・「TFX-Artist」に興味のある方
参加費 無料
主催 株式会社フォトロン・株式会社ボーンデジタル

個人から企業まで、YouTube番組やSNS等で動画コンテンツを発信することが当たり前になった今。
コンテンツが溢れる時代だからこそ、「見られる」ための動画作りに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

このセミナーでは、テレビのバラエティ番組の元編集者であり、現在は株式会社フォトロン所属の高橋奈月音 氏をゲストに迎え、テロップ制作についてお伝えします。

テレビ番組の中でも飽きさせない、見られるための工夫が必須なバラエティ番組。1番組につき数百のテロップを作ることもある元編集者だからこそ語れる制作のコツを、テロップシステム「TFX-Artist」の実演を交えながらお話しします。

主なトピック

・テレビ番組のテロップ事情
素早く、見やすく、効果的なデザインが求められているテレビ業界において、どんな工夫がされているのかを紹介します。

・バラエティのテロップ構成とは?
サイドテロップ、情報テロップ、コメントスーパーなど、普段何気なく見ている番組のテロップ。バラエティ番組の事例から、それぞれどんな目的で構成されているのかを解説します。

・テロップ制作実演
各種テロップについて、実際にどんなものかの事例紹介と、TFX-Artistを使った制作実演をします。

・テロップについてのQ&A
「作り方のポイントは?」「どんなことを意識して作っている?」などテロップについての疑問を、その場でゲストがお答えします。

〈「TFX-Artist」テロップ事例〉

事前質問への回答

Q:テロップの簡単な作成方法は?
A:単色+エッジ(白or黒)+黄色エッジ
これがシンプルで見やすく画面映えもするので、初めのうちはそこを基本にして徐々に変化させていくのが良いと思います。

Q:独学で映像編集を始め現在に至っています。個人の場合、制作単価が非常に低くビックリしております。高橋さんからみて、昨今の映像編集者のプロとアマの決定的違いは何でしょうか?
A:テロップのクオリティーでいえばサイズや文字間などのバランスがプロとアマでは圧倒的に違います。
テロップ単体や映像加工単体でセンスのあるものはアマでも多く作れますが、番組や動画内容に合わせて統一感を出しつつセンス良く編集する力はプロが優れている点だと思います。

Q:テロップに関して知識が無いのですが、見やすく、視聴者を引きつけるためにどのようなことに注意されているのか、また作成に要する時間なども教えていただればと思います。
A:視聴者を引きつけるためには演出で緩急をつける必要があります。その演出に合うデザインのテロップを作ることが大切です。
作成時間に関しては凝れば凝った分だけ延ばせるので納期次第ではありますが、基本的にはコメントテロップは流し込み機能というものを使って自動作成を使用します。
演出系は1枚5~15分くらいで作ることが多いです。ただし一度作ればプリセット化してしまうので、時間がかかるのは最初の一回です。

Q:1つの番組の中でテロップを作る際、トンマナを守って統一感を出しつつ、でも単調にならないようにバリエーションを確保する必要があると思うのですが、どのように考えて制作していますか?作業スピードも求められると思うので、効率的に制作するために心がけていることは何ですか?
A:バリエーションと統一感のバランスは本当に難しいです。バリエーションを増やしすぎると統一感がなくなるので、個人的にですが、演出で派手に煽るところでフォントからガラッと変えて煽るようにしています。
こまめに少しずつデザインを変えるよりは、印象付けたい部分を大きく変えることで差を出す意識をしています。
作業スピードに関しては、どの番組でも使えそうな基本のプリセットを用意して、そこからデザインを派生させています。
また原稿がある場合は初めに白文字で良いので全てのテロップを流し込みで自動で仕込んでから、デザインをつけて上書きしていきます。

Q:媒体別で気をつけた方がいいレイアウトなど、配置面で小技や視認性UPポイントがあれば教えて頂きたいです。
(セーフティは有って無いようなものである、とか。ショートでも使いやすいようセンター配置に組むとか)
A:どの媒体でもセーフティーというか基準の位置は意識した方が見やすいです(ここより下には入れないなど)。
視認性でいうとショート動画などはテロップの出ている時間が短いのでシンプルで読みやすいデザイン、配置はコメントであれば基本固定する(テレビは下位置だけどショートなら見やすければ位置はあまり気にしなくても良い)など。
いずれにせよ商品や人に被るような配置は避けた方が無難です。ショートであれば初めからテロップを入れる枠みたいな部分を作ってしまっても良いかもしれません。

Q:出演者のしゃべりにテロップを付ける場面で、長すぎる言葉を省くような処理をする場合のコツがあれば教えてほしいです。
A:結論を抜き出していきます。その結論を動きを付けてあげます。耳からも言葉は入ってくるので、文字はだいぶ省略しても通じます。極論コメントなどなくても、ちゃんと聞いてもらえてるのであれば映像として成立します。
例「今日はAさんとディズニー行ったんですよ!ミッキーと握手できて最高に幸せでした!」
→「ディズニー行ったんですよ!最高に幸せでした!」(最高に幸せでした!を動きをつけてだす)

Q:フォントの選び方、文字間隔などフォントが与える印象について意識していること。お勧めの書籍でも良いので聞きたいです。
A:フォントの選び方はシーンや言葉の意味に合うように意識しています。
文字間隔などの意識でいうと、数字は少し大きくしたり(数字だけサイズが小さいフォントが多い)、接続詞は一回り小さくして見やすくしています。
ひらがなが続くようなテロップは半角まではいかない程度で単語や文節の間をあけるようにしています。

Q:色の組み合わせのセオリーなど
A:薄い色に薄い色のエッジは組み合わせない(黄色+白など)、背景映像と同系色はなるべく避ける、一枚のテロップであまり多くの色は使わないなどを気を付けています。

Q:テロップのデザイン、出し方などで自分には思いつかない方法で感心したテロップはありますか?
インプットの方法、デザインの素早い決め方があれば聞きたいです。
A:言葉では伝わりにくいと思いますが、同じ文言で違うデザインを重ねて前面はゆっくり拡大、背面はゆっくりスライドしていくという、ネガティブな煽りを見た時に感心しました。
インプットやデザインの決め方は正直慣れるしかないと思います。強いて言えば、デザイン決めはそのテロップが映像に出ている秒数が長いほど凝るようにして、短い場合は読みやすさ重視です。

Q:大量のコメントフォローテロップの効率的な処理の仕方をお聞きしたいです。
A:原稿がある場合は初めに白文字で良いので全てのテロップを流し込みで自動で仕込んでから、話者ごとに色付けして上書きしていきます。
最後に煽る部分のデザインを決めていきます。原稿がない場合も先に基本デザインで仕込んでしまいます。

Q:TikTokなどの縦型動画への応用方法を教えてください。
A:縦型動画は殆どがコメントテロップだと思うので、強調したい部分のコメントをテレビみたいにデザインを変えたり動きを付けたりするだけで目を引くと思います。

ゲスト紹介


高橋奈月音 氏
株式会社フォトロン

[プロフィール]
元ポストプロダクション勤務。
アシスタントとしてテロップ作成を経験し、オペレーターへ昇格後、主にバラエティー番組の編集を中心に行う。
現在は株式会社フォトロンに在籍し、同社製品であるポスプロ時代に使用していたテロップソフト「TFX-Artist」の技術サポートなどを行う。